Tear Flowers〜奪われた未来〜
「何か進展があったんですか？」

黒いバラの花びらは、マーティー・ブラックローズが手を貸している証拠だ。彼の居場所などを取り調べ中の犯人が吐いたのだろうか。フィオナの中に期待が生まれる。しかし、シオンは首を横に振った。

「残念ながら、あの事件の犯人全員がマーティー・ブラックローズの居場所は吐かず、むしろ「手を貸してもらってはいない」と否認しているんだ」

「そうですか……」

やっとマーティー・ブラックローズに近づけると思ったのだが、その影すら今回も掴めなかった。悔しさからか、フィオナの拳が強く握り締められる。

「大丈夫だ。きっと、私たちなら奴を近いうちに捕まえられる。……そんな気がするんだ」

シオンは優しく微笑み、フィオナの肩に触れて部屋に戻っていく。フィオナは光をその目に宿さず、ぼんやりとしたままエヴァンが呼びに来るまで暗い階段を見つめていた。



「今回調査するのは、法医学研究所や遺体安置所から遺体が盗まれる事件についてだ」

シオンがそう言い、フィオナはサルビアが配ってくれた資料を見る。ここ二ヶ月で何十件も被害が起きているようだ。
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