シングルマザー・イン・NYC
毎朝9時半にアパートにマリアがやってくると、私たちは慧を彼女に預けてサロンに出勤。

お昼休憩はスタッフルーム(裏庭に面した六畳ほどの部屋で、テーブルと椅子の他、仮眠をとるのにぴったりなソファまでカミーユさんは置いてくれた)で交代でとる。

そして6時になると、マリアが慧を連れてサロンにやって来て、私たちは店を閉め、途中、数ブロックだけセントラルパークの中を散歩して、アパートに帰る。

この習慣が始まったのは、約二か月の準備期間を経て三月にサロンをオープンしてしばらくたった頃。

「桜を見に行こうよ」とアレックスが言ったのがきっかけだ。

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