シングルマザー・イン・NYC
慧の成長とアレックスの結婚

慧は毎日一緒にいてもわかるほど、どんどん成長していった。

最初は寝てばかりいる赤ちゃんだったのが、寝返りを打つようになり、その次は、うつぶせの姿勢で腕をついてグイッと上半身を持ち上げて辺りを見回すようになった。

そうこうするうちに、ずり這いで家じゅうを探索するようになり、これにはマリアも手を焼いた。

彼女が料理をする時も、慧がキッチンの床を這いずり回るので、

「危なくてお料理ができません……」

と、しばらくの間、アレックスと私の大好物だった「黒豆ご飯」と「野菜と牛肉のスープ」は、食卓から姿を消すことになった。

「元気だなー、慧は!」

床に寝転がったアレックスが、積み木を積んでやりながら、隣にちょこんと座っている慧に語りかけた。

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