シングルマザー・イン・NYC
慧がガサゴソしている気配がする。
今日もリュックにお気に入りを詰め込んでいるのだろう。
「ねえ、またブラちゃん、持って行くの?」
「うん」
「好きだよねえ、ブラちゃんのこと」
ブラちゃん、というのは、恐竜のぬいぐるみだ。
数年前のある日、ローゼンタール夫妻が慧に渡してくれたもので、たまたま彼らが慧を預かってくれた日に居合わせた来客が日本人で、その人が後日、「一緒に過ごして楽しかったお礼に」と、ワシントンD.C.から送ってくれたのだという。
とても親切な人だ。
慧もその人のことを気に入った様子で、会ってからしばらくの間
「えほん、よんでもらった。にほんご、じょうずだった。おなまえ、わすれちゃってざんねん」
と何度も言っていた。
今日もリュックにお気に入りを詰め込んでいるのだろう。
「ねえ、またブラちゃん、持って行くの?」
「うん」
「好きだよねえ、ブラちゃんのこと」
ブラちゃん、というのは、恐竜のぬいぐるみだ。
数年前のある日、ローゼンタール夫妻が慧に渡してくれたもので、たまたま彼らが慧を預かってくれた日に居合わせた来客が日本人で、その人が後日、「一緒に過ごして楽しかったお礼に」と、ワシントンD.C.から送ってくれたのだという。
とても親切な人だ。
慧もその人のことを気に入った様子で、会ってからしばらくの間
「えほん、よんでもらった。にほんご、じょうずだった。おなまえ、わすれちゃってざんねん」
と何度も言っていた。