シングルマザー・イン・NYC
慧のクラスでは、誰が何をもってこようとも――危険物でさえなければ――教師は大して気に留めないらしい。

教材や文房具はどうしているのかと言うと、学校にあるものを使っている(文房具は、学期初めに各家庭の親が通販で買って学校に送り、それを共有)。

このシステムを知った時、「なんて楽なのだろう!」と私は感動した。

日本の小学校では各自持ち物を揃え、算数で使うタイルの一枚一枚にまで名前を付けなくてはならなかった。

教師である私の母でさえ、ぶつくさ文句を言いながら、その作業をしていたのを覚えている。


それに加え、慧の小学校では上履きは不要だし、体操着もない。
体育のある日は運動しやすい服装と靴で行けばよく、毎週上履きを洗わなくてよいのも、とても楽だ。

そんなわけで、予想していたよりもずっと、快適な小学校生活が始まったのだった。
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