シングルマザー・イン・NYC
「慧、テレビつけてくれる?」
「はーい」
朝はニュースを観ることにしている。
サロンでお客様との会話に役立つから。
キャスターの声が流れ始めると、慧が
「あっ、落ちちゃう」
と言った。
彼の方を見ると、ブルーベリーがコロコロっと、皿からテーブル、さらに床に落ちるところだった。
「転がりやすいから、しっかりフォークで刺さないとねー」
私は屈み、ブルーベリーを拾った。
その時。
ニュースキャスターが『イツキ・シノダ』と言った気がして、私は思わず立ち上が……
「痛っ!」
るつもりが、テーブルに頭をぶつけた。