シングルマザー・イン・NYC
「すみません、急に」
「いいのよ、ちょうど予定がない日だし」
「ありがとうございます。じゃあ、アレックス、ちょっと行ってくるね」
「ごゆっくり」
カミーユさんと私は、アレックスに見送られてサロンを出た。
向かう先はノイエ・ギャラリー。
クリムトの『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I』を所蔵していることで有名な美術館。
建物はレンガ造りの立派なお屋敷といった外観で、入り口はごく控えめ。
METの近くにあるのだが、雰囲気は対照的だ。
中には「カフェ サバスキー」という、ウィーンの雰囲気が素敵なカフェがあり、私たちはそこで昼食をとることにしたのだ。