シングルマザー・イン・NYC
緊張して、勇気を出すためにお酒まで飲んだのに、電話は呆気ないほど簡単に終わった。
『はい、プラヤホテルです』
『私、キワ・サイトウといいます。818号室に宿泊中のイツキ・シノダに伝言をお願いできますか』
『どうぞ』
『お伝えしたいことがあるので、XXX-XXX-XXXXに電話をください』
『他にご用件は?』
『大丈夫です。ありがとう』
私は「ふう」と大きく息を吐くと、ソファに体を深く預けた。
篠田さんから連絡があるかどうかはわからないが、自分はすべきことをした――そう思ったら急に体から力が抜けた。