シングルマザー・イン・NYC
「そろそろ九時だね」
慧がノートパソコンを自室に取りに行き、走って戻ってきた。
オンラインでこなす宿題があること、また、早い時期からタイピングに慣れた方がいいという小学校の方針で、入学後すぐに買い与えたのだ。
ソファの上に座った慧は、手早くzoomにログインする。
画面に集中していた顔が、ほころぶ。
「お父さん!」
『慧。おはよう。元気?』
「おはよう。元気。日本は『こんばんは』、だね。そっちは夜の十一時でしょ」
『うん。お母さんは?』
「ねえ、なんで名前で呼ばないの? お父さんのお母さんじゃないでしょ」
『ええ?』
食器を片付けて戻ってきた私が画面をのぞくと、画面の向こうの篠田さんは、椅子に座って頭の後ろで腕を組み、楽しそうに笑っていた。
まだスーツにネクタイ。仕事の途中か。
慧がノートパソコンを自室に取りに行き、走って戻ってきた。
オンラインでこなす宿題があること、また、早い時期からタイピングに慣れた方がいいという小学校の方針で、入学後すぐに買い与えたのだ。
ソファの上に座った慧は、手早くzoomにログインする。
画面に集中していた顔が、ほころぶ。
「お父さん!」
『慧。おはよう。元気?』
「おはよう。元気。日本は『こんばんは』、だね。そっちは夜の十一時でしょ」
『うん。お母さんは?』
「ねえ、なんで名前で呼ばないの? お父さんのお母さんじゃないでしょ」
『ええ?』
食器を片付けて戻ってきた私が画面をのぞくと、画面の向こうの篠田さんは、椅子に座って頭の後ろで腕を組み、楽しそうに笑っていた。
まだスーツにネクタイ。仕事の途中か。