シングルマザー・イン・NYC
翌朝。

「行ってらっしゃい。二人とも、楽しんできてね!」

里香ちゃんは、笑顔で私たちを送り出した。

タウシーはマンハッタンを抜け、やがて郊外へ。
戸建ての家が多いエリアを通り過ぎ、空港が近づいてくる。

慧の膝にはブラちゃん。

「えー、ブラちゃん、連れてくの? 落としちゃったら大変だよ、見つけられないよ。お留守番、お願いしようよ」――そう私は反対したのだが、慧は「連れていく」と言ってきかなかった。

「慧、飛行機ではしっかり眠ろうね。日本と米国は、昼と夜がちょうど反対だから。時差ぼけになりやすいの。うまく調整できないと、日本に着いてからしばらく大変になっちゃう」

「わかった」

慧は神妙な面持ちで頷いた。

だが。


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