シングルマザー・イン・NYC
そこにいた樹さんは、長袖Tシャツにスウェットのズボン。昔と同じ、部屋着兼パジャマだ。髪は乾かしたてで、まだくしゃっとしている。元から若く見えるけど、この格好だと、さらに若い。
「どうした? 黙って」
「――うん、変わってないなと思って」
「まさか。老けたよ」
「でもまだ白髪ないでしょ」
私が言うと、樹さんは「さすが美容師」と笑った。
それから私たちは、並んで歯磨きをした。
壁にかかっている時計を見ると、もうじき九時だ。まだ眠るには早い時間だけど――これからするんだろうな、緊張する――。私は鏡越しに樹さんを見た。樹さんは私の視線――と心の内――に気付き、「まだだ」と笑った。
「どうした? 黙って」
「――うん、変わってないなと思って」
「まさか。老けたよ」
「でもまだ白髪ないでしょ」
私が言うと、樹さんは「さすが美容師」と笑った。
それから私たちは、並んで歯磨きをした。
壁にかかっている時計を見ると、もうじき九時だ。まだ眠るには早い時間だけど――これからするんだろうな、緊張する――。私は鏡越しに樹さんを見た。樹さんは私の視線――と心の内――に気付き、「まだだ」と笑った。