シングルマザー・イン・NYC
二十分ほどして、私たちは溜池山王で降りた。
この駅も静かだ。
地上に出ると、外堀通りを挟んで向こう側には赤坂の街が広がり、こちら側は神社などがあり、意外に緑が多い。
やがて、樹さんに案内されて着いた場所は――。
「ついに樹も結婚したか。おめでとう! 希和さん、樹をよろしくお願いします。息子――慧君までいたとは。嬉しいねぇ。小さい頃の樹にそっくりだ」
慧は私たちの間で、出されたリンゴジュースを堪能中だ。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
私は頭を下げた。
こんな返事で良いのだろうか。
応接セットの向かいの椅子で柔和な笑みを見せるその人は、三上総理大臣。
樹さんの伯父様だ。
寄りたい場所、というのは首相官邸だった。
「じゃあ、僕たちはこれで失礼します」
そう樹さんが言って、私たちが立ち上がった時だった。
「私も一緒に行くとしよう」
総理が席を立った。
「え?」
樹さんと私の声が重なった。
この駅も静かだ。
地上に出ると、外堀通りを挟んで向こう側には赤坂の街が広がり、こちら側は神社などがあり、意外に緑が多い。
やがて、樹さんに案内されて着いた場所は――。
「ついに樹も結婚したか。おめでとう! 希和さん、樹をよろしくお願いします。息子――慧君までいたとは。嬉しいねぇ。小さい頃の樹にそっくりだ」
慧は私たちの間で、出されたリンゴジュースを堪能中だ。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
私は頭を下げた。
こんな返事で良いのだろうか。
応接セットの向かいの椅子で柔和な笑みを見せるその人は、三上総理大臣。
樹さんの伯父様だ。
寄りたい場所、というのは首相官邸だった。
「じゃあ、僕たちはこれで失礼します」
そう樹さんが言って、私たちが立ち上がった時だった。
「私も一緒に行くとしよう」
総理が席を立った。
「え?」
樹さんと私の声が重なった。