シングルマザー・イン・NYC
「希和さん」

「はい」

「あなた、度胸あるわね」

 ――慧を一人で産み育てるのだと伝えた時に、カミーユさんがかけてくれたのと同じ言葉。

「ありがとうございます」

「樹をよろしくお願いします」

ピンと背筋の伸びた、静かで美しいお辞儀。

「こちらこそ、よろしくお願いします」

私も慌てて頭を下げた。隣では慧も。

「おばあちゃん、僕もよろしくお願いします」

頭を上げたお義母様は、慧に向かってにっこりほほ笑んだ。笑うとさらに、美しさが際立つ。

「よろしく、慧。とても嬉しいわ、あなたみたいなかわいい孫がいたなんて。樹――」

「はい」

「私に言われるまでもないと思うけれど……二人を大切になさい」

「もちろんです。大切にします」

樹さんははっきりと、宣言した。
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