シングルマザー・イン・NYC
リンカーン・センターに入り、篠田さんの後ろをついてエスカレーターに乗った。
降りてしばらく進み、係員にチケットを見せる。案内された先にはドアがあり、そこにはドアマンが立っていて私は驚いた。
「パルテレにしたんだ。個室みたいなバルコニー席」
明けられたドアから中をのぞくと――
「素敵……」
舞台左右の上方に設えられた個室――からオペラ見下ろすのは、私にとって初めての経験。
さすが国際弁護士の卵。
篠田さんの本気のデートは贅沢だ。
「篠田さん、良い席をとってくれてありがとうございました。ここ、高かったんじゃ……?」
「そんなこと気にしなくていいよ。俺が誘ったんだし。あのさ」
「はい?」
「これまでのカジュアルなデートはとても楽しかった。今度からは、たまにこういうのもしようよ」
「……ありがとう」
これまで私が見てきたのは、カジュアルな篠田さんだったが、あれは彼の一面に過ぎないのだろう。
仕立てのいいスーツを着こなした篠田さんは、やはり弁護士らしく見えるし、きちんとした大人の男の人っていう感じだ。私はふと気になった。釣り合うだろうか。
降りてしばらく進み、係員にチケットを見せる。案内された先にはドアがあり、そこにはドアマンが立っていて私は驚いた。
「パルテレにしたんだ。個室みたいなバルコニー席」
明けられたドアから中をのぞくと――
「素敵……」
舞台左右の上方に設えられた個室――からオペラ見下ろすのは、私にとって初めての経験。
さすが国際弁護士の卵。
篠田さんの本気のデートは贅沢だ。
「篠田さん、良い席をとってくれてありがとうございました。ここ、高かったんじゃ……?」
「そんなこと気にしなくていいよ。俺が誘ったんだし。あのさ」
「はい?」
「これまでのカジュアルなデートはとても楽しかった。今度からは、たまにこういうのもしようよ」
「……ありがとう」
これまで私が見てきたのは、カジュアルな篠田さんだったが、あれは彼の一面に過ぎないのだろう。
仕立てのいいスーツを着こなした篠田さんは、やはり弁護士らしく見えるし、きちんとした大人の男の人っていう感じだ。私はふと気になった。釣り合うだろうか。