シングルマザー・イン・NYC
「篠田さん。もしかして育ち、すごく良かったりしますか?」
「え?」
唐突な質問に篠田さんは面食らった表情をしたが、口に手を当て(彼は考え事をするとき、このしぐさをする)
「そうだなあ。自分で言うのもおかしいけど、悪くはない……と思う。まあ、単に普通の家より金持ちで教育と世間体にうるさくて習い事とか色々させられた、っていうだけだけど……なんか、面倒な家みたいに聞こえるな。うん、なかなかややこしい家なのは間違いない」
いつもはきはきしている彼がぶつくさ言うので、笑ってしまった。
「ややこしい、ですか」
「うん。かなり」
「弁護士一家?」
「いや、違うんだ。弁護士は俺だけ。家業があまり好きじゃなくて」
「希和は?」
「え?」
唐突な質問に篠田さんは面食らった表情をしたが、口に手を当て(彼は考え事をするとき、このしぐさをする)
「そうだなあ。自分で言うのもおかしいけど、悪くはない……と思う。まあ、単に普通の家より金持ちで教育と世間体にうるさくて習い事とか色々させられた、っていうだけだけど……なんか、面倒な家みたいに聞こえるな。うん、なかなかややこしい家なのは間違いない」
いつもはきはきしている彼がぶつくさ言うので、笑ってしまった。
「ややこしい、ですか」
「うん。かなり」
「弁護士一家?」
「いや、違うんだ。弁護士は俺だけ。家業があまり好きじゃなくて」
「希和は?」