シングルマザー・イン・NYC
するとそこには。
「名門政治家一族・篠田家の跡取りで国際弁護士の篠田樹氏(三十一)、ニューヨークで恋人にプロポーズ」
という見出しと共に、篠田さんが私にプロポーズしたあの場面が、大きく表示されていた。
有名なゴシップ誌に写真を撮られ、それが明日発売されるというので、父親に連絡があったのだそうだ。
政治家で篠田と言えば――。
電話が終わった後、私はきいた。
「篠田さん、さっきのお父さんて、大臣だった人じゃ……」
私が渡米する前、たまにテレビのニュースに映っていた。
「うん、そう。よく知ってるね」
「なんで黙ってたんですか?」
「なんでって……特に理由は。親父の話する必要なかったし」
「その写真、まずいですよね……?」
「別に。親父は怒ってたけど」
「なぜ?」
「まあ、色々としがらみが……希和は気にしなくていいよ」
しがらみ。
なんだろう。
妙な胸騒ぎがした。
「名門政治家一族・篠田家の跡取りで国際弁護士の篠田樹氏(三十一)、ニューヨークで恋人にプロポーズ」
という見出しと共に、篠田さんが私にプロポーズしたあの場面が、大きく表示されていた。
有名なゴシップ誌に写真を撮られ、それが明日発売されるというので、父親に連絡があったのだそうだ。
政治家で篠田と言えば――。
電話が終わった後、私はきいた。
「篠田さん、さっきのお父さんて、大臣だった人じゃ……」
私が渡米する前、たまにテレビのニュースに映っていた。
「うん、そう。よく知ってるね」
「なんで黙ってたんですか?」
「なんでって……特に理由は。親父の話する必要なかったし」
「その写真、まずいですよね……?」
「別に。親父は怒ってたけど」
「なぜ?」
「まあ、色々としがらみが……希和は気にしなくていいよ」
しがらみ。
なんだろう。
妙な胸騒ぎがした。