定期の王子様
「おい。
おいって!」
学校帰り、さっきからしつこく私に呼びかける男がいる。
「そこの女子高生!」
きっとナンパ、かなんかだと思う。
気持ち悪いから無視してたんだけど。
「上野杏奈!
定期、落としたって!」
フルネームで呼ばれて立ち止まった。
……定期?
慌てて鞄を探る。
……あれ、ここに入ってるはず、なんだけど。
でも、いくら探しても出てこない。
もしかして、さっきさっき携帯を出したときに。
振り返ると、半ば怒っている眼鏡の若い男が立っていた。
そりゃそうだろう、親切に定期を拾ったのに無視され続けば。
「あ、……すみま、せん」
「おい!」
は、恥ずかしすぎる!
顔から火が出そうなほど熱い。
慌てて定期を奪うように受け取り、まだなにか言いたそうな男を残してお礼もそこそこに、まるで逃げ出すみたいにその場をあとにしてしまった。
「はぁーっ」
バスに乗って心の中でため息。
定期を落としたことにも気づかずに、ナンパと勘違いして無視し続けた自分はさぞかし嫌な子だっただろう。
しかも、ちゃんとお礼も言わないで逃げちゃうなんて。
おいって!」
学校帰り、さっきからしつこく私に呼びかける男がいる。
「そこの女子高生!」
きっとナンパ、かなんかだと思う。
気持ち悪いから無視してたんだけど。
「上野杏奈!
定期、落としたって!」
フルネームで呼ばれて立ち止まった。
……定期?
慌てて鞄を探る。
……あれ、ここに入ってるはず、なんだけど。
でも、いくら探しても出てこない。
もしかして、さっきさっき携帯を出したときに。
振り返ると、半ば怒っている眼鏡の若い男が立っていた。
そりゃそうだろう、親切に定期を拾ったのに無視され続けば。
「あ、……すみま、せん」
「おい!」
は、恥ずかしすぎる!
顔から火が出そうなほど熱い。
慌てて定期を奪うように受け取り、まだなにか言いたそうな男を残してお礼もそこそこに、まるで逃げ出すみたいにその場をあとにしてしまった。
「はぁーっ」
バスに乗って心の中でため息。
定期を落としたことにも気づかずに、ナンパと勘違いして無視し続けた自分はさぞかし嫌な子だっただろう。
しかも、ちゃんとお礼も言わないで逃げちゃうなんて。
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