イケメンと数多の恋心|エアラブ掲載の短編を載せていくだけのものです。なので、1つの物語ではないです|
「それ,お腹一杯だから全部あげる」
「いいの!?」
可愛めな幼馴染みとのお昼。
私はいつもデザートだけ彼に分けてあげていた。
それを利用して渡したのは一口サイズのガトーショコラ。
彼だけに作ったのだから全部食べてほしい気持ち故の言葉。
彼は箱を開けて固まる。
「一応だけど,今日何の日が知ってる?」
「…情緒的でいいでしょ?」
彼の射抜くような目を前に,私は顔を反らした。
止めてよ,何でわざわざ聞くの。
こんな日だって納得して,勝手に義理だと思ってくれれば良かったのに…
すると彼は後ろから私を抱き締める。
「これって義理?」
そして私のチョコよりも甘い声で囁いた。
諦めて私は答える。
「本命…ごめんね」
「なんで謝るの?」
「迷惑かもと思ったから」
答えた私に彼は間髪いれずに言った。
「そんなわけない。ありがとう。大好き」
また私をぎゅっとしてにっこり笑った彼は,ゆっくりと私の手を握った。 
< 31 / 92 >

この作品をシェア

pagetop