イケメンと数多の恋心|エアラブ掲載の短編を載せていくだけのものです。なので、1つの物語ではないです|
私はパッと慧から離れる。

え,なにしたの,なにされたの今。

今の,なに。

変な声,出たし。

なんか一瞬,変だった。

私の顔はきっと真っ赤。

人に見せられるものじゃない。

なのに,すごく視線を感じる。

今,慧,なにした?

耳たぶ唇で挟んで……


「あ,ごめん。なんか分かんないけどつい……噛んだかも」


ついってなに。 

ついですることなの?


「ちょっとどいて」

「イッた」


静かな暁くんの声と,何かを痛がる健くんの声が聞こえる。

視線を向けると,机を跨いで来たらしい暁くんが私に手を伸ばしているのと,そのために退かされたであろう健くんが見えた。

暁くんが私の腕を引いて,ぽすっと鼻先が胸板に当たる。

今度は,なんかドキドキする。

大忙しだ。

暁くん,なんか怒ってる?

慧はキョトンとした目で見つめているし,クラス全員が何を言うのだろうと暁くんを見ていた。

     『恋と旧懐ー兎な彼と私ー』より
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