バースデイ・プレゼント 『幼なじみはトップアイドル』おまけSS
***

 ピンポン、ピンポン。
 やっぱり2回押し。
 璃音だ。

 璃音はドアを閉めるなり、速攻ディープ・キス……
「知紗、会いたかった」と耳元で囁いてくれるのもいつもの決まり。

 でも何度言われても、そのたびにふわっと身体が温かくなって、気持ちが華やぐ。

「もうびっくりしたよ。急に沖縄行くなんて」
 璃音の腕のなかで、わたしは言った。

 彼は無敵の5年連続「日本一キスしてみたい男」。
 つい先日、その記録を1年のばし、現在6年連続No.1。
 その、誰もを魅了する薄桃色の唇をニッと持ちあげて言った。

「そりゃ、びっくりしてもらわなきゃ。サプライズになんないじゃん」
「でも、よく休み取れたね。しかも連泊なんて」
「社長を脅したから。もし休みくれなかったら芸能界引退するって」
 璃音は冗談とも本気ともつかない表情で、そんなことを言った。

 何しろ、今や事務所の稼ぎ頭だ。
 そのぐらいのワガママは聞いてもらえるんだろう。

「さ、もう行くぞ。道混むかもしんないし」
「うん」
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