あなたを失いたくない〜離婚してから気づく俺様御曹司への溢れる想い
あれ、ベッドが広いと手で広さを確認すると、何かが手にあたった。

柔らかい、恐る恐るそっちに視線を移すと、男性が眠っている。

嘘、誰?私は記憶を辿る。

私が一生懸命考えていると「おはよう、よく眠れたか」と、その男性は声をかけた。

「あのう、なんで私、ここで寝ているんですか」

やっと記憶が蘇って来た。

この男性は海堂慎、私を助けてくれた男性。

そして二、三日お世話になる事になった。

海堂さんのお酒のおつまみをつくって、えっと、それから、なんで私二日酔い?

あっ、一緒にお酒呑んで、あと覚えていない。

「今日婚姻届出しに行くか」

「はい?婚姻届?」

「ファーストキスの責任取れって叫んでたぞ、結婚するかって言ったら頷いてたからな」

「そんな事言ってません」

「言った」

「私、帰ります」

「勝手にしろ」

私はマンションの出口まで来ると、見知らぬ男性に車に押し込まれそうになった。

私は思わず海堂さんに助けを求めた。

俺は出て行ったちづるが心配で、後を追ってエレベーターで出口まで来ていた。

ちづるの助けを求めている声が俺に届いた。

「ちづる!」

俺はちづるの手を引き寄せ、俺の背中に回した。

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