あなたを失いたくない〜離婚してから気づく俺様御曹司への溢れる想い
俺はその日も敢えて遅く帰った。

そして疲れた身体をソファに横たえた。

朝、目覚めるとちづるはもう起きていた。

「おはようございます、昨日も遅かったんですね、お疲れ様です」

「ああ」

「昨夜はソファでお休みになったんですね、私がソファに寝ますので、海堂さんがベッドで休んでください」

「俺と一緒は嫌と言う事か」

「そんな事は言ってません、海堂さんこそソファに寝たじゃないですか、私の事嫌いなんですか」

俺は言葉が出なかった。

「他に好きな女性がいるのですか」

「そんな事はない、ちづるこそ他に好きな……いや、 なんでもない、この話は終わりだ、仕事に行く」

「海堂さんが降って来たのに……」

ちづるはぶつぶつと文句の様な言葉を言っていた。
「もう、行くぞ」

「お食事は召し上がらないんですか」

「いらない」

「ああ、そうですか、ご勝手に」

いつもドアのところまで見送ってくれるが、今日はプイッと背を向けた。

「行くぞ」

「どうぞ」

「もう、行くからな」

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