君の隣にいたかった。
ℓσνє 1章
夜が明ける瞬間
暗い……暗い夜の病院。
私は今、余命宣告を受けた。
残り、長くても1ヶ月だって。
悲しくない……苦しくもない……。
どちらかと言えば、ラッキーだったかもしれない。
元から幸せだった訳でもないし、両親は他界してるから、よく知りもしない叔母さんに引き取られて邪魔者扱い。
無理矢理バイトをさせられて高校にだって行けてない。
最初は辛かった日々も、今ではもう慣れてしまった。
……だからね、辛くない。
やっと解放される……お母さんとお父さんのところに行ける。
天国という……幸せなとこに。
あと1ヶ月……お母さん、お父さん……待っててね。
薬をもらってお金を払って病院を出た。
息苦しい病室と違って、少し肌寒く、空気も冷たい。
夜道は暗くて寂しい。
私の心の中みたいに。
死んだら、本当に解放される……?
幸せなんて忘れたまま、あの世に行くんだ。
そう考えると、ほんの少し、ほんっとに少しだけ、泣きたくなった。
お母さん達も、悲しんでるかな……。
名前と性格が合ってなさすぎて……えへへっ……。
凛々しい、華やか。
これで凛華。
私の名前だ。
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