君の隣にいたかった。

カシャーッ……とシャッター音が鳴ったのを確認してから私は即座に天空さんの元に駆け寄った。






「はい、よく撮れたよ」


「わぁっ、ありがとうございますっ……。すごい、本当によく撮れてる……」






まるで写真屋さんみたいだ……。


私と叶君をしっかり撮しながらも桜を主に撮ってくれていて、距離感もバッチリだ。







「天空さんは、きっとカメラマンとか向いてます……!
あ、でもカッコイイから撮ってもらう側の方がいいのかな……」






天空さんなら、どっちもいけそうだ。


うーん……と顎に手を添えて考えていると、天空さんは突然『ぶはっ!』と笑い出した。






「あははっ、凛華、ほんと可愛い。ありがとね、褒めてくれて」


「え、え、思ったことを言っただけですよっ」






お礼を言われるほどのことではっ……。


感謝されることに慣れていない私は、ほんのり頬を紅潮させる。





「ううん。実は俺、写真好きだからさ……。
そう言って貰えるの、ほんと、凄く嬉しいんだ」





頬を赤くして、心の底から嬉しそうに笑う天空さんは、今までで1番かっこよかった。






「でしたら目指しましょうっ! 目指せプロの写真家です!」






勢い余って、前のめりになりながら両手の拳を握りしめそう言うと、天空さんは目を丸くした。


それからまた『ククッ……』と喉を鳴らしながら笑い出す。






「……うん、凛華がそう言ってくれるなら、目指してみようかな」


「!……応援します」






なんだか天空さんの、夢への第1歩の背中を押せたような、役に立てたような気がして嬉しくなる。
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