君の隣にいたかった。
「君の〜〜、隣にー、いーたくてぇ〜♪」
マイク片手に熱唱している流星さんの隣で、私はシャンシャンとタンバリンを鳴らしながらコンビニで買ってきたカツサンドを頬張る。
叶君が私に食べさせてくれたカツサンドの味がどうにも忘れられなくて、また買ってしまったのだ。
それにしても、流星さんは歌が上手いっ……!
低音系だと思ってたけど、高い声も出るんだっ……!
イケメンさんは、何でもできるのか……? と感心してしまう。
「はぁ……流星の歌声 五月蝿いし、クセ強い。僕は凛華の歌が聴きたいな〜」
「えぇっ……私なんて音痴の象徴みたいなものなんでっ!」
「音痴の象徴てww」
ふふっ……と小さく笑うユンちゃんは、この世の言葉ては表せないくらい小悪魔だ。
「……私、は……叶君の歌、聴いてみたい」
チラッと叶君を見ると、叶君は心底嫌そうに怪訝に顔をしかめていた。
「あ、僕も聞いてみたいかも〜」
「はいはーい、俺も〜」
「おいテメェら俺の歌聴きやがれー!!!」
眉間にシワを寄せる叶君に、ユンちゃんがマイクを持たせようとし、
流星さんはまだ歌い足りなかったのか不満顔。
天空さんはニコニコーっとしながら勝手に叶君の歌う曲を選曲している。
そんな風景が可笑しくて、私は堪らず『んふふっ……』と声を出した。
「あははっ!」
すごいなぁ……。少し前の私なら、こんな風に笑うなんて、絶対できなかった。
これも全部、叶君がありのままの私を受け入れてくれたから。
大好きだよ……。誰よりも。