君の隣にいたかった。
私に、嬉しいとか、悲しいとか、美味しいとか、幸せとか、そういうの全部、叶君が私に教えてくれたの。
……あーあ。どうしよう。
――――生きたいって、思っちゃうよ。
これからもずっと、みんなと、叶君と……こんなふうに笑っていたかった。
「よぉーし! もう僕が歌いまーす!」
ユンちゃんが歌い出したけど、私は悲しくなって気分が乗らず、『ちょっとお手洗いに』と言ってその場を去った。
……そうだよ。何忘れてんだろう。私―――死ぬのに。
こんな、楽しんでたら、私……。
「―――凛華」
「っ……!」
もっと、そばにいたいって、思っちゃうよ……。
叶君は私の腕を掴んで、離そうとしない。
来て、くれた……追いかけて、くれたの……?
それがとても嬉しくて、ぶわっと涙が溢れ出した。
「ど、してっ……来たんですか……。
わた、しっ……叶君に、かっこ悪いところばっかりっ……」
叶君が来ると、安心で、安心で、タガが外れてしまう。
「いいよ。カッコ悪くても。俺は―――ありのままの凛華が好きだから」
どうして叶君は……私が今、1番欲しい言葉をくれるんだろう。
「……え」
「俺が全部、受け止めるから、俺の前では……無理するな。
俺を救ってくれたカッコいいお前の優しいとこも、泣き虫なとこ、
本当はたくさん笑えるとこ、本当は人が大好きなとこ。
俺はお前の全部、愛しいと思うから、……2年前から、ずっと」
叶君の瞳は、とても真剣だ。