君の隣にいたかった。

私に、嬉しいとか、悲しいとか、美味しいとか、幸せとか、そういうの全部、叶君が私に教えてくれたの。




……あーあ。どうしよう。






――――生きたいって、思っちゃうよ。






これからもずっと、みんなと、叶君と……こんなふうに笑っていたかった。









「よぉーし! もう僕が歌いまーす!」




ユンちゃんが歌い出したけど、私は悲しくなって気分が乗らず、『ちょっとお手洗いに』と言ってその場を去った。



……そうだよ。何忘れてんだろう。私―――死ぬのに。



こんな、楽しんでたら、私……。






「―――凛華」


「っ……!」






もっと、そばにいたいって、思っちゃうよ……。


叶君は私の腕を掴んで、離そうとしない。



来て、くれた……追いかけて、くれたの……?




それがとても嬉しくて、ぶわっと涙が溢れ出した。





「ど、してっ……来たんですか……。
わた、しっ……叶君に、かっこ悪いところばっかりっ……」





叶君が来ると、安心で、安心で、タガが外れてしまう。









「いいよ。カッコ悪くても。俺は―――ありのままの凛華が好きだから」







どうして叶君は……私が今、1番欲しい言葉をくれるんだろう。







「……え」


「俺が全部、受け止めるから、俺の前では……無理するな。
俺を救ってくれたカッコいいお前の優しいとこも、泣き虫なとこ、
本当はたくさん笑えるとこ、本当は人が大好きなとこ。

俺はお前の全部、愛しいと思うから、……2年前から、ずっと」







叶君の瞳は、とても真剣だ。
< 22 / 44 >

この作品をシェア

pagetop