君の隣にいたかった。



「好きだ、凛華。

もう、1人では泣かせない」








全身、熱を持って、今にも沸騰しそうで、涙が溢れてきて、止まらなくて。



嬉しいのに、幸せすぎて、おかしくなるくらい。





なのに、私は叶君の気持ちには応えられない……。




それが一番、辛い。









「……ごめん、なさい」


「……謝んなって」


「はい……ありがとうございます、あの、すごく、嬉しいです」


「それ、なんの励ましにもなってねぇから」


「えへへっ……」








叶君の悲しげな笑みを見て、胸がチクッと痛む。


好き……大好き。両想いだった。嬉しい。なのに……―――



私も好きだと言っても、後で叶君は、傷つくことになる。



それが嫌。だから、言わない。言えない。






「そん代わり、敬語禁止な」


「へっ?」







フンッと鼻を鳴らしてそう言う叶君に、私はすっとぼけた声を上げる。







「あ、の……無理って言ったら、どうしますか……?」


「その口塞ぐ」


「えっ……」


「キス、するから」







ニヤリと意地悪な笑みを向けられ、全身火山の噴火みたいに熱くなる。


湯気が出てきていないか不安なくらいだ。




キ、キスって……!







「わ、わかりましたっ……あ、えとっ、頑張る……!」


「ふっ……素直でよろしい」







ポンッと優しく私の頭を撫でてくれる叶君の手が、とても私なんかよりも大きくて、不覚にもドキッとしてしまう。



この手の温かさを、ずっと感じていたい。



そう、願わずにはいられないのだ。
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