君の隣にいたかった。
君の隣にいたかった。
【叶side】
昔、凛華に出会った時、人目見て惚れた。
『1人で辛かったね……』
そう言って、ふわっと微笑んでくれた。
凛華が俺にくれた言葉は、それだけだったけど、
あの時の俺には十分すぎる言葉だった。
その凛華に、また会えたけど、凛華は怖いほど美少女に変わっていた。
呼び止めた時、その場で告白しようとしたくらい、好きなんだ。
「叶君、私……叶君が好きっ!」
泣きながらそう言われ、俺の思考は停止する。
さっき、急いで病院に来たんだ。
凛華が入院すると言ってから、理解するのに数日かかった。
フラれたくせに、まだ好きで……なんならどんどん好きになっていくから。
どうしようもなく会いたくて、色んな病院駆け回って。
それでやっと来れたはいいけど……今凛華……なんて……。
「ごめんなさい、本当は私、もう死ぬんです。いつ死ぬかも分からない。
最後に叶君に出会えてよかった! ありがとう!」
「な、何言ってっ……」
凛華が、死ぬ……?
しかも、最後って……?
「最後だから、言わせて。私は叶君が好きです」
「凛華、お前……死ぬ? 何言ってんだよ」
意味が分からない……。
あれから何分経ったかは分からない。
でも、理解はできた。
凛華が……死ぬ……?
「治ら、ないのか……?」
「……うん」
悲しそうに笑う凛華を見て、胸が痛む。
「なんでだよっ! 俺はっ……俺は凛華が好きだっ!」
「!!」
「だから死ぬなっ!!」
苦しい……痛い……心臓が、張り裂けそう……。