君の隣にいたかった。
「凛華。そこにいるか?」
お供え物をしてくれた叶君が空を見上げてそう尋ねた。
こうやって毎日来てくれると、私も安心する。
また、大好きだなって思える。
『いるよ』
聞こえるはずがないけれど、叶君の近くに寄ってそう答えた。
叶君は、もう成人したかな? さすがにまだか。
でも、あの頃よりはるかに大人っぽくなってて、もっとカッコ良くなってる。
「俺今、スゲェ幸せだよ。凛華のおかげだ。ありがとう」
改めてそう言われると、なんか照れるな……。
「……あの頃は言えなかったけど、実は……俺も、生まれつきの病気で、
長くは生きられない。成人する前には、もう死ぬ」
あはっ……と乾いた笑みを浮かべた叶君に、私は目を見開く。
叶君が……病気っ……!?
「おじぃちゃんになるまで生きて欲しいっていう凛華の願い、叶えてやれなくてごめんな。それはまた、来世で叶えるわ」
私は首を横にブンブン振る。
謝らないで……大丈夫だよ。
叶君は1人じゃないから。
『じゃあ、ちゃんと迎えに行くね』
私が、迎えに行ってあげるから。
だから大丈夫だよ。
聞こえたわけがないのに、叶君は驚いたように目を丸くした。
でもその後すぐにいつもの優しい笑みに変わり。
「そっか……」
優しく、そう答えてくれた。