君の隣にいたかった。
ペコリと頭を下げてその場を立ち去る。
なんか、変な人に出会ってしまったっ……怖い。
「待てよ! お前さっきから何やってんだよ、ウロチョロして」
大きな手で腕を掴まれ、つんのめりになる。
力強っ……。
「……」
「……オイ不審者かよ」
「違います……」
「じゃあなんだよ」
「……分かりません」
変な会話だけれど、これはマズイ……。
いやもう一か八かお願いしてみるか!
急な気持ちの変わりで、私はそんなことを思った。
「帰るところないんで、泊めて貰えませんか?」
「はっ?」
目を丸くして驚く彼とは対象的に、私は真剣だ。
あれこれテキトーに説明して、何とか承諾を得た。
病気のことはもちろん秘密!
「なんか……これ、放っておいたらお前野生化しそうだな」
「……そうですね」
確かに野宿でもいいかと思ってたけど、いつか野生化するかも。
困った顔をしながらも真剣に考えてくれてる。
お腹も空いたし……なんか食べたいなぁ……。
私はふとお母さんの言葉を思い出した。
『男の子はみーんな上目遣いでものを頼まれると断れないのよ〜♪』