期間限定マリアージュ~四年越しの旦那様はエリート社長、誓いのキスが子作りの合図~
四年越しに会った私の夫。

私の思考が今ある現実に付いていけなかった。

「ちょっと…待って下さい…」

「君は五億で買われた・・・君がその五億を返済する方法があると言うなら別だけど…ないなら、俺の子を産むしか方法はないだろ?」

彼のテノールの声が鼓膜に冷たい響きを訊かせる。


「あるのか?」

彼は私を詰って追い詰める。

「・・・ありません…」


「俺は生憎非婚主義…子供が生まれたら、離婚してやる…それまでの結婚生活だ・・・それなら君も我慢出来るだろ?離婚後…俺が受け継いだ父の遺産の一部を慰謝料として用意する…」


子供を儲け、出産するまでの結婚生活。
その結婚は期間限定を意味する。

「一週間の猶予を与えてやるから…考えてくれ」

「あの…社長…コーヒー…」

弘瀬さんがソファの脇でトレーを持って立ち尽くしていた。

「話は終わった…置いていいぞ」

弘瀬さんは私の前に湯気の立ったコーヒーを供してくれた。

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