期間限定マリアージュ~四年越しの旦那様はエリート社長、誓いのキスが子作りの合図~
「じゃ俺は先に行くよ…」

彼は腰を上げて、私の耳許で囁き、立ち去る。
コーヒーの匂いとは別に彼のカラダから匂うスパイシーな香りが鼻腔を擽っていった。
―――これが彼の匂い。

私は神戸麻莉(カンベマリ)

彼の妻。

彼の子を身ごもり、産むコトが妻である私の役目。


子供さえ産めば、五億はチャラだし、彼と離婚できる。

それに、その後の生活だって慰謝料で保障されている。


だけど、抗いたかった。


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