セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
その言葉に少しだけショックを受けながらも、颯真が今まで嫉妬したことのない理由も気になった。
彼ほどの容姿なら自分から行動しなくても女性が寄ってくるだろう、それなりに恋愛経験もあるはずだ。それなのに一度もヤキモチを妬いたことがないなんて……
「今まで誰かを好きになったことくらいあるでしょう? それなのに嫉妬する機会はなかったの?」
花那は片想いの時ですら、好きな異性に近づく女性に嫉妬したことだってある。両想いになれば独占欲が増し、もっと嫉妬深くなった。
なのに、颯真はそんな経験がないと言う。花那にはそんな颯真の恋愛観が理解出来なかった。
「異性と付き合った事なら何度かある、だけど相手の女性を好きだったかと聞かれるとよく分からない。俺は……恋愛感情というものが理解出来ないから」
「恋愛感情が、理解出来ない……? それって……」
彼が恋愛感情を理解出来ないということは、花那とは恋愛することなく結婚したということになる。
花那はその事が信じられなかった。少なくとも自分は恋愛感情もない相手と結婚するような人間ではない。それは以前の花那だって同じはずなのに……
「恋というのがどういうものか分からないし、誰かに愛情を感じたこともない。俺は今まで愛されたいとも、愛したいとも思った事が無いから」
「そんな……」
予想もしなかった颯真の言葉に、花那は手のひらで口元を抑えてショックを隠す。
まさか颯真がそんな風に思いながら自分と結婚生活を送っていただなんて。