セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
一瞬だけ花那の頭に浮かんだ嫌な考え、そんなはずはないと思いながらももしかしたらという気持ちはどんどん膨らんでいく。
「花那? ごめん、言い方が悪かったかな?」
返事をしなくなった花那の様子がおかしい事に気付いて、颯真は心配そうに声をかける。
颯真は自分が以前の花那との事を話さなかったことで、今の彼女を不安にさせているのは分かっていた。それでも今の二人の関係を無かったことにしたくなくて、颯真は話すことが出来ずにいる。
まさかそんな花那が少しずつ二人の結婚の秘密に気付き始めてるとも知らずに。
「ごめんなさい、ちょっとだけ色々考えてしまって。颯真さんの話があまりにも意外だったから……」
颯真に恋愛感情が無い、誰も愛するつもりもない。それはつまり、これから先どんなに花那が颯真を想っても応えてはもらえないという事でもある。
彼に少しずつ心が揺れていた花那にとっては、それも大きなショックの一つになった。
「花那、今の俺は……」
何かを言いたげな颯真に、花那はこれ以上傷付きたくなくて言葉を被せるように……
「これ以上話してると予約の時間に間に合わなくなるわ、そろそろ行きましょう?」
腕時計で時間を確認した花那は、ソファーに置いていたバックを肩にかけ颯真を置いて先に玄関へと向かう。そうしなければそれ以上笑顔でいられる自信が無かった。