セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
それからは颯真も花那に気を使ったのか、さっきの話題には触れない当たり障りのない会話だけをした。
車を運転する颯真の横顔は真剣で、その整った容姿にどうしても見惚れそうになる。
もちろん花那が彼に惹かれかけている理由はそれだけではない。不愛想で不器用ながらも颯真は優しくて、たまに見せてくれる微笑みが可愛い。それに何かに一生懸命な時の真剣な表情は凛々しくて素敵だとも思っている。
――いつの間にこんなに颯真さんの事を、好きになってしまっていたのかしら?
好きにならないように、惹かれたりしないようにと気を付けていても彼に好意を持つのに時間は掛からなかった。
それなら言葉にしなけれれば、態度に出さねければと言い訳したが、それももう無理なような気がする。
――私が颯真さんの妻になれればいいのに、なんて欲張ったから。
花那が颯真を好きにならなければ、彼の言葉に傷つくことはなかった。この結婚の本当の形に薄々気付いてもショックは受けずに済んだだろう。
それでもきっと花那は颯真には惹かれずにはいられなかったはずだ、颯真が自然に今の花那に惹かれていったように……
「……花那、そこのパーキングに車を停めるから」
「え? そう、分かったわ」
あまり人通りも多くない市外から離れた場所だが、颯真はその小さなパーキングに迷わず入って車を停めた。