セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
「この辺に店があるの?」
颯真が助手席のドアを開けると、花那は車から降りながら遠慮がちにそう聞いた。
車のドアくらい花那にだって開けられると何度言っても、颯真は二人で出かける時はそうしたがった。
そうしている瞬間は花那が自分だけのお姫様のような存在に思える、そんな本音を颯真は隠していた。
「ここから少し歩くことになる。今日は予約でいっぱいで駐車場の空きがないらしいんだ」
颯真がそう申し訳なさそうに話すので、花那は「ちょうど散歩したかったのよ」と軽く返事をした。
ふと近くにコンビニがあるのを見つけると、颯真は花那に少し待っていて欲しいと言って店に走って行った。少し冷えてきたので温かいお茶を頼んで、花那も近くで待っていたのだが……
「お姉さん、こんな時間に一人?」
「……え?」
いつの間に傍に来ていたのか、三人の男性に声をかけられて花那は驚いた。派手な容姿の男性たちはまだ若いのだろう、それに酔っぱらっているのか少し酒の匂いもする。
「いいえ、夫と一緒に来たのよ。すぐに戻ってくるから待っているだけなの」
男たちから一歩下がって、きちんと自分は一人ではない事を伝える。するとそんな花那の言葉を聞いた男たちは……
「お姉さん、結婚しているの? 美人な人妻って魅力的だよなあ!」
酔いが回っているのだろう、男の一人はそんな事を言って楽しそうに笑う。周りの二人もゲラゲラと笑い出し花那は不快だった。