セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
「イテエよ、離せ! ちょっと話しかけただけだろうが、女を一人にしていたお前が悪いんだろ!」
颯真に腕を掴まれたまま喚く男を残し、他の男性二人は黙ってその場から離れていく。その様子に焦った男は今度は態度を一変させ謝ってきた。
「悪かったよ、俺も少し酔っていたんだ。もうこんな事はしないから……」
「そうだな、君はさっさと家に帰って酔いを醒ますべきだ。もう二度と女性に無理強いはしないようにな」
よっぽど颯真の力が強いのか、男の額には冷や汗が浮かんでいる。その表情から相当痛いのは分かるのだが、細身の彼にそんな力があるとは花那も知らなかった。
「分かった! 分かったから、早く離して……ください」
そう言われて颯真が手を離すと、男性は一目散にその場から逃げて行った。そんな男の様子をじっと見ていた颯真に花那は……
「大丈夫、颯真さん?」
「それは俺が君に言うセリフだ、数人の男たちに囲まれて怖かっただろう?」
そっと花那の方に触れる手はとても優しかった。先ほどまで男を掴んでいた彼とは別人のように、心配そうな表情で彼女を見つめている。
そうされる事で今まで我慢していた不安な気持ちが、一気に自分の胸の中から溢れてしまう。
自分では我慢強い方だと思ってた、でもこうやって手を伸ばされれば頼りたくなる。颯真の優しさに甘えてしまいたくなってしまう。