セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
「少しだけでいいの、少しだけ傍で支えてもらえる……?」
今の花那に言えるのはこれが精一杯だった、どこまで颯真に甘えてしまって良いのか分からない彼女にしては頑張った言葉。
それは颯真にも伝わったようで、そっと二人の距離を縮めて花那の肩にその腕を回して優しく引き寄せた。
「ああ、君は十分頑張った。俺がきちんと考えて行動していれば、花那に怖い思いをさせなくて済んだのに……」
外は少し寒いのに、こうして触れているところから相手の熱が伝わってくる。
ジンと胸の奥が痛くなる、こうしてお互いの温もりを知る事で隠している気持ちが育っていくようで……
「ううん、私がボーっとしてたから。すぐに颯真さんも来てくれたし大丈夫よ」
「花那が強いのは知っている。でも今はこうして俺がいるんだから無理はしないでくれ」
どうして強がりまでバレてしまうのか、優しくされれば余計に期待してしまいそうになるのに颯真は分かっていない。花那はそう思うが、それを彼に伝えることはしない。
もし記憶が戻れば颯真の気持ちは全部以前の花那に向けられる。でも、もし記憶が戻らなければ……
――私は狡い。こうした気持ちをどうしても消すことが出来ないまま。
そんな自分の後ろめたい感情に気付いていながらも、今はただ黙って颯真の傍で寄り添っていたかった。