セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
「ちょっと待って、花那……!」
慌てた颯真がそう呼び止めたがその声は彼女に届かず、あっという間に花那は子供の傍に行ってしまった。
思い出すのはあの日の出来事。
彼が最初に花那を見た時、彼女の目は虚ろで自分に向かってくる車に気が付きもしなかった。きっと颯真が気付き助けなければあのまま……
それにあの日家を出た時だってそうだった。彼女を追いかけて走っていると人だかりが出来ていて、そこには意識の無い花那が倒れていたのだ。
――もう彼女を一人にしていたくない。五年前も、数か月前も彼女は一人ぼっちで苦しんでいたはずだ。今度こそ、俺が……
そう決意して、颯真は花那のいる方へと走り出した。そんな時、花那の傍にいた少年が何かを見つけ笑顔でその場から走り出してしまう。
大きな道路へと向かって走る少年に驚いた花那が、彼を止めようと続いて走りだす。しかし、そんな二人に気付かない車がやってきてしまう。
「花那! 花那、危ない!」
出来る限りの大声を出して花那に危険を知らせると、彼女はその声に気付いて顔を上げ急いで少年を抱きあげその場から逃げようとする。
全力で二人のいる場所へと走る颯真からは、車のライトで二人の姿が見えない。
そのまま二人の間で大きなブレーキ音がして――――!!