セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
大きなブレーキ音を立てて車が止まり、その場が一瞬でシンとなる。時が止まったかのようなその場所の中心に颯真は真っ青な顔で近寄った。
彼からは花那と子供の姿は見えなかった、ただ二人の無事を祈り走るだけ。
「花那!? 花那、返事してくれ!」
車の中で呆然とするドライバー、周りにわらわらと人が寄ってくるのも気にしてる場合ではなかった。すぐに車の陰に隠れるような状態だった花那と子供を見つけ、颯真はそれだけで涙が出そうになった。
「花那!」
「颯真さん、私……」
車はぶつかる寸前で止まったのだろう。花那も少年にもぱっと見、怪我などはなさそうだった。
男の子は花那にギュッと掴まって怯えた様子だが、花那が落ち着くようにと背中を撫でている。そんな彼女も颯真を見上げ擦れるような声を出した。
「私、あの……」
「花那?」
さっきの事故で怯えているのだろうか? 花那はとても弱気な表情を颯真の前で見せている、そんな彼女に颯真はとても驚いた。
初めて出会った事故の時でも彼女はこんな動揺した様子は見せなかったのに。そんな花那の様子に一瞬だけ嫌な予感が颯真の頭に浮かぶ。
――まさか? いや、でも有り得ない事じゃない。
「花那、君はもしかして……」
震えそうになる声を堪えて、冷静を装って颯真が花那に話しかけたのだが……