セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
伝える想いの深さに
「申し訳なかった、あの看護師にはきちんとした処分を考えておくから」
院長室に呼ばれた颯真は、そう言って頭を下げる院長の言葉を黙って聞いていた。どうやら看護師と院長は遠い血縁関係にあるらしく、こんな事をしでかすとは思ってもみなかったらしい。
最初は颯真の話を信じられないように聞いていた院長だったが、証拠のメッセージなどを見せられ愕然としていた。
――院長が悪い訳じゃない。そう分かってるが、今回の事で取り返しのつかないことになったら。
そんな苛立ちが颯真の胸を支配する、最後まで何が悪いのか分からないような顔で笑っていた看護師がとても憎かった。
繋がらなくなった花那のスマホ、その事に気付いて颯真はすぐに家に帰ろうとした。だが出勤してきた他の看護師たちに誤解され、結局すべてを院長に話して今この状況になっていた。
看護師はすでに両親が連れて帰り、しばらくは謹慎期間に入る事になっている。それでも颯真と花那の問題が解決するわけじゃない、早く彼女と話したくて気が急くばかりだ。
「院長、俺はきちんと妻と話がしたいです。申し訳ないのですが今日は……」
「ああ、深澤先生の代わりは矢代先生に頼んでおいた。今日はゆっくり奥さんとの時間を作って欲しい、本当にすまなかった」
そう言ってもう一度頭を下げる院長に颯真も頭を下げると、足早に部屋を出て裏口から駐車場へと向かう。花那がまだ家に残っていてくれる事だけを願いながら。