セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
「もしもし……」
『花那! 花那、今どこにいるんだ! 話したいことがある、今すぐ君に会いたい」
スマホの向こうからは随分と焦ったような颯真の声、もしかしてずっと電話をかけていたのかもしれない。そう思って花那は……
「ごめんなさい、ちょっとスマホの調子が悪くて。駅近くのショップに来ているの」
変なメッセージが大量に来てるとはまだ言えなかった。もしここでその話をすれば颯真がどんな反応をするのか分からないから。
用件が終わればすぐに帰る、そう伝えるつもりだった花那に颯真は言った。
「なら、そこまで迎えに行く。店の中で待っててくれ」
颯真は一方的にそう言うと通話を切ってしまう、向こうからは車のエンジン音が聞こえていた。彼は車で来るつもりなのだろうか? 花那はスタッフに自分は後回しにして欲しいと伝えて颯真が来るのを待つ。
――それにしても颯真さんはまだ勤務時間のはず、それなのにいったい何故? 真面目な彼が勝手に仕事を休んだりするとは思えない。
そんな疑問が花那の頭の中で浮かぶが、それでも今この状況で彼がそばに来てくれるというのはとても嬉しかった。やはり心細くて、自分はそれを彼に伝えてもいいのかもしれない。花那は少しだけそんな思いを抱いていた。