セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
番外編 君の名に似合う花を。 ※花那視点
「花那、これ……」
「ふふ、今日はダリアね。とても綺麗だわ、ありがとう颯真さん」
仕事帰りにまた花屋に寄って来たのか、颯真さんは帰ってくるなり私に花束を差し出した。初めの方は仕事場の病院で飾った残りだと言って渡されていたが、最近は綺麗にラッピングされていて彼が買ってきた物だと分かる。
花を渡した颯真さんは、それだけで用事は済んだというようにさっさと自分の部屋へと行ってしまった。
「颯真さんはどんな顔をして花を選んでくれてるのかしらね? 今度隠れて見に行きたいわ」
私の夫である颯真さんは普段ほとんど笑わない。不愛想なわけではないが、感情が表に出にくいため少し冷たい印象に見える。
けれどたまに見せてくれる笑顔がとても素敵なので、それを独り占めできてるようで悪い気分はしない。
花瓶を用意して早速ダリアを生ける。今日の花は可愛らしいピンク色、颯真さんがくれる花は暖色系の色が多い。彼はそういう色がこの好みなのかしら、それとも……
まさか私に似合う色を選んでたり、なんてことは無いわよね?
そう考えると少しだけ頬が熱くなってくるような気がしてくる。嬉しいのか恥ずかしいのか……照れ臭いのか、自分でも分からないけれど。
こんな乙女チックな思考を持っているなんて颯真さんにバレたら笑われるかもしれない、そう思っていつもすました笑顔で誤魔化してしまう。
そんな私の表情を颯真さんがしっかりと観察しているとは知らずに……