セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
二度目の結婚生活へ
「お、おじゃまします」
「ただいまだろう、ここは君の家でもあるんだから」
予想よりずっと立派な一軒家に花那はなかなか玄関から動けずにいた。颯真が外科医だという事は聞いている、しかし彼の稼ぎまでは聞いていなかった。
颯真は必要だろうと次々と花那に色んなものを買ってきた。しかしいくら何でも外科医の給料でここまで出来るのかと花那は不思議に思う。
「そうですよね。ごめんなさい、記憶がないと自分の家だという気がしなくて……」
颯真の話では花那は五年間この家に住んでいたそうで、本当ならもう少し思い出や懐かしさを感じてもおかしくないはずなのだが……
花那は広いリビングを見ても整理整頓されたキッチンを見ても何も感じる事は無かった。
「綺麗にされてるんですね、ここに颯真さん一人で暮らしてたんでしょう?」
広い家の中はどの部屋も掃除が行き届いており、花那を驚かせた。ただ一つ見せてもらえなかった颯真の書斎だという部屋を除いて。
「心配ない、使用人を雇っているから花那は一切家事をする必要はないんだ」
「使用人? いったいどうして?」
颯真の言葉に花那は大きな声を出した。ごく普通の家庭で育ち苦労してきた彼女には、この家にどうして使用人が必要なのか理解できないのだ。
「何故って……そうしなければ、誰が家の事をやるんだ? 以前の君もそれで納得していただろう?」