セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】


 今の状態ではどれだけ悩んだって答えは出そうにない。花那(かな)は早々に考えるのを諦めて、乾いた喉を潤すためにキッチンへと向かう。
 
 ——綺麗に整理整頓された家の中、掃除も細かいところまで丁寧にされている。私がしばらく入院していても、きっと何も変わらなかったのでしょうね。

 変わらなかったのは家だけだろうか? もしかしたら颯真(そうま)も花那の存在があっても那なくても変わらなかったのではないか? 
 ……花那の心にまた一つ、不安の種が植わり育っていく。

 冷蔵庫を開ければ中にはたくさんの食材がきちんと並べてあり、使い勝手もよさそうだ。
 花那は中から一本だけあったオレンジジュースのペットボトルを取り出しドアを閉めた。そのままふたを開けてゴクゴクと一気飲みする。

「……はあっ」

 ——喉も潤ったし、少しだけスッキリした気がする。このまま少し外にでも出ようかしら?

 入院生活中でも多少は外にも出ていた、だが花那はこのあたりの塵を覚えているのかが気になったのだ。
 すぐに花那は颯真の部屋へと向かい、外出する事を伝えに行く。それくらいなら颯真も気にしないと思ったのに……

「……それなら俺も付いていく」

「……え?」

 予想しなかった颯真の返事に、花那の方が戸惑ってしまう。ほんの少しその辺を散歩したいと言っただけだったのに。


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