セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
「これでいいかしら?」
花那は鏡の前で何度も自分の姿を確認していた。
彼女が着ているのは小さな花模様の淡いイエローのワンピース。これも花那が入院中に颯真が買ってきたもので、彼の好みだと思われる。
――――小さな可憐な花、こんなに可愛らしい服が私に似合うと颯真さんは思ってるの?
自分が好ん着ていたのは、ラフで動きやすい服装が多かった。毎日働きづめで化粧も必要最低限、こんなお洒落な服を着る機会も無くて……
颯真が選んでくれた何着もの服を前に、彼女は毎日どれを着ればいいかと迷っていた。
それでも颯真のくれた服は、いざ着てみるとどれも花那にとても似合っている。彼は服を選ぶのが上手らしい。
次に机の上に置いてあるジュエリーボックスを開き、並んでいる指輪やピアスを眺める。これも花那が退院してから颯真が買ってきたものだ、もちろんその中身も一緒に。
何度確かめても花那が持っていたはずの指輪もピアスも見つからない。捨てられない花那の性格からして、結婚してもいくつかは残していそうなのに……
「もう時間になる、急がなきゃ……」
花那は壁の時計で時間を確認すると、今日のワンピースの色と柄に合わせ黄色の花を選んで付ける。
そうして机に置いていた鞄を持つと、颯真との待ち合わせに向かうため静かに部屋を出た。