セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
「ごめんなさい、待ったでしょう?」
予定ではもう着いているはずだったのに、花那は乗った電車で途中停車することになり一時間以上約束の時間から遅れてしまっていた。
もちろんメッセージは何度も送ったが、一時間も遅れてしまっては颯真の予定だって狂うはず。花那は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「気にしなくていい。レストランには連絡しておいたし、花那が理由なく遅れるとも思っていない」
「颯真さん……ありがとう」
もちろん理由はちゃんとあるが、それでも遅れてしまったことに変わりはない。花那はそんな颯真に小さくお礼を言った。
「だから気にしなくていい。そろそろ行こうか、コインパーキングに車を止めてある」
「車……? このまま電車で行かないんですか?」
駅での待ち合わせだったので、てっきり電車で行くのだとばかり思っていた。だがそうではなかったらしい、颯真は軽く首を振った。
「これが事故にあう前の花那の希望だったし、すこし町外れにある店だから」
「そうなんですか、いったいどうして……?」
花那は自分なのに、颯真と結婚していたはずの花那はまるで別人のように感じていた。颯真の話を聞いても、どうして自分がそんな事を言ったのか想像もつかない。
「……さあ、どうしてかなんて聞いたことも無かった。今考えれば、きちんと聞いてみるべきだったんだって思うけど」
颯真も同じだ、前の結婚生活の事を話す颯真はどこか冷めたように感じる。これが本当に想い合って結婚した妻に対する態度なのか、と。
――本当に、二人の事がよく分からないわ。
黙って先を歩く颯真の後をついていきながら、花那はまた二人の関係に違和感を覚えていたのだった。