セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
「え、あの……もしかしてこれって」
颯真からのお祝いの言葉とともに差し出された白い紙袋、という事は……
「花那への誕生日プレゼント、この日だけは君が俺からのプレゼントを受け取ってくれていたから」
「そうなんですか……」
颯真の話しによると、五年間の結婚生活で花那が彼からの贈り物を受け取ったのは数回だけ。彼女の誕生日プレゼントと、どこかに消えたマリッジリング。
それについては颯真も知らないと首を振るだけで……
「その話はまたにしよう。いいから早く開けてみて?」
確かに颯真の言う通りだ、楽しい時間を思い出せない記憶にばかり費やすのは勿体ない。今だけ、少しだけと言い訳をしながら花那は颯真に言われた通りプレゼントの袋を開けた。
袋の中から出てきたのは、美しく透き通るようなブルーの花飾り。大きな花弁があしらわれ、豪華なのに落ち着いた上品さもある。
「すごい、こんな綺麗な髪飾りが私に合うかしら……」
「俺が君に似合うと思って贈っている、もし似合わなければ俺に文句を言えばいい」
いつもは物静かなくせに颯真はこんな時だけよく喋るようになる。こんな言い方をされると、彼は以前の花那ではなく今の自分を見てくれてるような気がして……
胸の奥、少しだけ自分に対して罪悪感を抱きながらも花那は今の喜びを隠しきれなかった。