セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
次の日の朝、花那は早起きをして朝食とは別に二人分の弁当を作っていた。
もしかしたら颯真は、店で食べようとする可能性もある。それでも食べてくれる可能性があるなら、と花那は夫の好物をたくさん入れておいた。
朝食を終えてキッチンに立つ花那に、準備をしておいでと颯真は洗い物を代わってくれる。そんな夫の優しさを花那は素直に喜び自室へと戻った。
昨日颯真に渡されたワンピースに着替えて、それに似合いそうなアクセサリーをつける。
真っ白なスカートは柔らかく、クルリと回るとふわふわと揺れて可愛らしい。細かな刺繍の施されたレースの部分も落ち着いた雰囲気の花那にとても似合っていた。
クローゼットから淡い色のバックを取り出し、花那は颯真のいるリビングへと戻る。彼はこの姿を見て何か言ってくれるだろうかと、胸を高鳴らせながら。
「やっぱり似合うな、君にはそのワンピースが一番だ」
「そうかしら? 颯真さん、ありがとう……」
颯真から期待していた言葉をもらったというのに、花那は素直にその言葉を喜べなかった。
褒められているのは今の自分なのか、それとも以前の花那なのか……颯真の言葉の意味ををどうしても探ってしまう。
そんな事をしても花那も颯真も苦しくなるだけだというのに。それでも花那は、相手の心が分からないからいつだって不安でいっぱいになってしまっていた。