セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
これ以上何か話すのが怖くて、花那は窓から外の景色を眺めて誤魔化すことにした。
しばらく走っていると花那はソワソワした気分になり、喉の乾きを感じ始めた。飲み物ならば後部座席に持ってきたお茶がある、それを取るべきか彼女が迷っていると……
「……もしかして喉が渇いてる?」
「え、はい。よく分かりましたね」
颯真は次の交差点が近くなるとウインカーを出して、そのまま左折する。目的地とは違う方向になるのに。
「颯真さん、何故そっちへ?」
「花那が飲みたいのは冷たいカフェオレだろう? 君のお気に入りの店に向かっている」
花那は自分の心が颯真に読まれたのかと思った、口には出さなかったが花那は今カフェオレをに見たくて仕方なかった。
今までそんなに飲み物に拘ってきたことなどなかったのに……
「初めて花那と水族館へ行った日も、君はこの店でカフェオレを飲んだんだ。もしかしてそれを覚えてくれてるのかな?」
連れてこられたのは、落ち着いた雰囲気の珈琲店。テイクアウトの商品も扱っているらしく、颯真が一人で店の中へ入り二人分のカフェオレを買って戻ってきた。
「でも良かった。記憶が無くても君は花那だって証拠、やっとひとつ見つけた」
「……颯真さん」
不安だったのは花那だけではない、夫である颯真も同じような不安を感じていた。花那はその事にようやく気付くことが出来たのだった。